運んで、与えて、慈しむ (「胃熱」編 その6)
こんにちは!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、「胃」の経絡について、少々触れさせていただきました。
前回のお話 汗にも筋道があるんです。 (「胃熱」編 その5)
今回は、「胃」と「脾」について、深澤先生から少々補足があるようです。
では、本編をどうぞお楽しみください!
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まいちゃん:
先生、「脾」というお話がちょくちょく出てくるんですが、
そもそもどんな役割があるんですか?
深澤先生:
確かに「脾」について、
もう少し説明しておいたほうが良さそうね。
「脾」にはいくつか機能があるんだけど、
「胃」と関連が深い機能としては、「運化」というものがあるわ。
まいちゃん:
うんか?
深澤先生:
そう。
まずは「運」という役割。これはそのまま「運ぶ」役割ね。
そしてもう一つの「化」は「生化」という役割。
まいちゃん:
せいか、って、何か生み出すんですか?
深澤先生:
「胃」の消化の話をした時に、
「水穀の精微」ということをちょっとお話したわよね?
まいちゃん:
確か、「胃」でドロドロに消化されて、
体に吸収される状態になった食物のエッセンスのことですよね。
深澤先生:
そう、この「水穀の精微」から、
体の様々な部位を生み出すのも「脾」の役割に含まれるの。
それが「生化」と言う役割ね。
「胃」は「水穀の精微」を作り出すけど、吸収の機能はなくて、
「水穀」を体の下の方の「脾」へ送る役割があるの。
「脾」が「胃」に代わって「水穀の精微」を体内に取り込み、
そのエッセンスを身体のあちこちに運んでいくのが、
「運化」というわけ。
実は、もう一つ大切なものも「運化」していてね。
「水湿の運化」といって、水を運ぶ役割もしているの。
つまり水分代謝に関わる機能も「脾」なのね。
まいちゃん:
そうか!
だから、汗にも関係するんですね。
深澤先生:
他にも、唾液とか胃液とか、
血以外の体に流れる液状のもの全てを運化しているわね。
そして「運化」について、もうちょっと補足ね。
実は、「水穀」から生み出されるのは、
「水穀の精微」としてのエッセンスで、
これは「気・血・心」の原料となる栄養のことなんだけど、
さらに、「水穀の精気」と言う「氣」も生み出されるのよ。
つまり、「脾胃」では、
食物から生み出された「水穀の精微」を体内に取り込み、
「気・血・心」の原料を作り出すのが、役割なのよ。
そんなわけで、中医学では、
「胃」と「脾」は切っても切れない関係になるの。
まいちゃん:
2つの機能が補い合って、
体にエネルギーが運ばれて作られていく、ということなんですね!
先生、中医学って本当に西洋医学と考え方が違うんですね!
ますます知りたくなってきました!
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いかがでしたか?
このように、普段の何気ない生活の中には、
体の重要なサインが含まれていることがたくさんあるのです。
次週は、五行と中医学について、
少しずつ解説していきたいと思います。
※このお話は、事例を基にしたフィクションになります。
実際の登場人物などは、深澤先生以外は架空の人物になりますので、ご了承ください。