中医学の基礎 その1 「陰」と「陽」
こんにちは。
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
先週の花粉症エピソード、いかがでしたでしょうか?
エピソードで物語られているように、
花粉症は春引き起こされることが多いですが、
その原因は冬の過ごし方にあります。
最近の住環境や食事は、
冬の寒さや夏の暑さを忘れることが多いほど快適です。
ですが、その快適さの裏には
人体への大きな影響と蓄積があるのです。
中医学では、
原因をその症状が発生している臓器や部位ではなく、
関連づいた部分も含めてみることで、
根治(根本的な治療)をおこなります。
そして、これらの中医学の礎となる考え方に、
「陰陽」というものがあります。
今週は、その「陰陽」について、
少し解説させていただきます。
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中医学に限らず、
中国の思想の根底にある考え方が「陰陽論」です。
これは、世の中の全ての事象は
「陰」と「陽」に分けられる、というもの。
そして「陰」と「陽」は表裏一体となって、
バランスをとりながら世界を構成しているというのです。
つまり「陰」と「陽」は、
バランスをとりながら存在することで、
「中庸」という状態、つまりどちらも飛び出ずに
お互いがちょうど良い状態で存在するのが理想とされているのです。
※ このお話を詳しくするためには、
世界の始まりという壮大なテーマに遡る必要がありますが、
詳細は別のお話になるので、今回は省略させていただきます。
では、世界はこの「陰」と「陽」に、どのように分類されていくのでしょうか?
まずは、分類されたものをみていただくとわかりやすいと思います。
下の表をご覧ください。
陰 | 地 | 月 | 静 | 重 | 湿 | 北 | 寒 | 暗 | 女 |
陽 | 天 | 日 | 動 | 軽 | 乾 | 南 | 暑 | 明 | 男 |
いかがでしょう?
陰と陽を見比べてみると、
それぞれのイメージが湧いてくるのではと思います。
それでは先に、陰に分類されているものをみていきましょう。
「地」を筆頭に、
重い、暗い、冷たい、静か、など、暗くしっとりと重さがあるイメージです。
一方で、陽に分類されているものをみてください。
「天」に表されるように、
軽い、明るい、熱い、動くなど、何となく明るく乾いていて軽やかなイメージです。
これらのように「陰」と「陽」というのは、
相対する考え方や概念でできています。
さらに、この2つは表裏一体となって、世界を構成しているのです。
このように中国の思想では、
世界は「陰」と「陽」に分けられ、
バランスを取り合いながら作られている、と考えられています。
このため、全てのものは、
まずは「陰」と「陽」の2つに分類されていくのです。
これを中医学、つまり人間の体の「氣」で考えてみるとどうなるでしょう?
実は私たちの体も、陰氣と陽氣が混じり合い、
渾然一体となって作られているのです。
先週のエピソード2に出てきた「熱」ですが、
この「熱」というのは、陰陽の分類でいえば「陽」にあたります。
(この辺は、なんとなくイメージではわかりますよね?笑)
まいちゃんの体に何が起きているかというと、
陰氣に比べ、陽氣が偏盛(勢いがありすぎる)状態、
つまり体に熱がこもってしまっている状態になってしまっているのです。
花粉症の場合、
冬の間に体内(肺や胃、特に肝)に溜まった「熱」が、
春になってバランスを崩して、
目や鼻などの体に不具合が出てしまうのです。
この状態が
体の「陽氣」が強くなっているということなのです。
となれば、花粉症を解消するためには、
これらの過剰な熱を処理して、
バランスのとれた状態にしていけばいいわけです。
具体的には、
冬の間、体に熱を溜めないように日頃から気をつけたり、
すでに溜まってしまった「熱」を取り去るといった方法で
対策していくようになるのです。
このように「陰」「陽」の考え方は中医学のベースとなっており、
体のバランスを考える際、不具合が出ている部位に
どんな過不足が出ているのかを見極めるために、用いられるのです。
それでは次回、
中医学上の「陰」と「陽」について、
さらに詳しく解説していきたいと思います。