第5話 相性は良いもの同士が惹かれます
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、「血」の熱と毒、そして「湿邪」について、
解説していきました。
話題は、お馴染みの「二元論」になっていきそうですが。
気になる本編は、こちらからどうぞ!
ーー ⭐️ ーー ⭐️ ーー ⭐️ ーー
深澤先生:
さて、前回の続きだけど。
以前、中医学の基礎「陰陽二元論」でお話した時に、
体の中の「陰」があまりに増えると、
陰陽のバランスを崩しやすい人は影響を受けてしまい、
身体の陰陽失調を起こしてしまう、という話をしたのを覚えているかしら?
まいちゃん:
確か「陽」が害されて「虚」になる状態の時に、
そんな説明だったのを覚えています!
深澤先生:
「湿」である「陰」が体の中に入り込んで、
「陽」を害してしまうと、「陽」が強い臓腑はダメージを受けやすいのよ。
特に「脾は燥(そう)を喜(この)み、湿を悪(にく)む」といわれるように、
「脾」は「湿」が大の苦手なの。
まいちゃんみたいに「内湿」を持っている体質の人は、
「脾」の疎泄が弱っている場合が多いし、
今の時期は「外湿」も多く、体内に外邪を呼び込みやすい。
つまり、ただでさえ動きの鈍いところに、苦手な「陰氣」が入ってくるから、
「脾」がくたびれちゃって、ますます水分代謝が鈍るというわけ。
まいちゃん:
でも、それがなぜ腫れの治りにくさになってしまうんですか??
水分代謝が鈍るのはわかるんですけど、
「陰」が増えるなら、腫れが引きそうに思うんですけど。。。
深澤先生:
お! いい質問ね!
じゃ、視点を変えてみましょう。
肌肉を守っている「氣」は「衛氣」だけど、
これは「陰」と「陽」どちらの性質を持っていると思う??
まいちゃん:
ええと、外側をブロックしてて、
目に見えないから「陽」の性質を持ってますよね!
深澤先生:
そう、正解!
じゃ、体の中が湿っぽいところに、さらに外から湿気が入って、
体の中の「陽」を害してしまうとしたら。
「衛氣」は「陽」の性質を持っているでしょ?
この「衛氣」が「陰」の氣にやっつけられて、
激しく傷ついたとしたら、どうかしら??
まいちゃん:
あ! そういうことか!
深澤先生:
なんとなく気づいたかしらね。
今の時期、「脾・肺・腎」のバランスが悪く、
体の中にある「内湿」をたくさん体に溜め込んでいる人は、
梅雨などの「外湿」を呼び込んで、
「陽氣」である「衛氣」を害しやすくなるの。
似たような性質のものは惹かれ合いますからね。
「陰陽二元論」で言えば、
「陰」が「陽」をやっつけちゃって、
「陽」が足りなくなっちゃてるのよね。
まいちゃん:
ということは、つまり。。。
私は、体の中が湿ってて、外邪である外湿が寄って来やすい体質で、
その湿気達が私の体の外側を守ってくれる「衛氣」を壊しちゃってる。
深澤先生:
そうそう。
しかも、「衛氣」が弱ったら、
体の「固摂」、つまり体液が漏れ出す機能が弱くなるから。。。
まいちゃん:
ただでさえガードが弱くなっているところに、
蚊に刺された傷と腫れが重なるわけですよね。
ええと、まとめると。
まず肝が熱でパンパンなせいで、
血に熱が吹き出しちゃってる。
さらにアレルゲンである毒が体に入り込んでいるのに、
「肝」はパンパンで動きが鈍くなってる。
毒素や血熱は、体を巡るけど、
肝臓が処理しきれないから、毒の減りも遅いわけですよね。
血もパンパン、毒素もパンパンのところに、
「衛氣」が弱ってるから、肌肉を正常に保てなくて、
いつまでも刺された傷でできた腫れが引かなかったり、
血や膿が止まらなかったりする。
さらに「湿」が水分代謝を鈍らせているから、
腫れやむくみが外に出せなくって、
いつまでも解消されないから、重苦しくなってしまっている、
という感じなんですかね??
深澤先生:
今日は一段と鋭いわねえ!
まいちゃんの場合は、だいたいそんな感じね。
蚊に刺された時の症状を聞くだけで、
ここまで体のことがわかるのが中医学なのよ。
まいちゃん:
先生、私たちのたった一言の中に、
実はものすご〜く、いろんなことを見ているんですねぇ!
深澤先生:
中医学は歴史も深いですからねw
そしてこのまいちゃんみたいな状態について、
もう少し説明したいのだけど、イイかしら??
まいちゃん:
まだまだ、お話聞かせてください!
やはり基本は「陰陽二元論」だった!
この「陰陽二元論」でまず見立てを解読することによって、
さらに細かい症状を分析しながら見極めていく、というお話でした。
次回、このまいちゃんの虫刺されの症状が、
ある有名な病気に関連しているというのですが。。。
深澤先生、どんな解説をしてくださるのでしょう??