中医学の基礎 その11 「虚」と「実」

おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。

先週の「五月病」エピソード、いかがでしたか?

メンタルの問題かと思いきや、原因は冬の生活習慣からくる体への蓄積や、
季節から受ける影響など、多岐にわたっている場合が多いのです。

中医学では、これら全てを考慮することで、
そのメカニズムや流れを知り、対処法を探っていくのです。
(この治療法へ至る論理を「弁証法」と言います)

さて、今週は。

先週の「肝気鬱結」編 第5話第6話で登場した
についてお話ししていこうと思います。

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中医学における「八綱弁証法」では、
体の状態を「」という8つの状態に振り分けることで、
治療法を決めていくときます。

「陰陽」「寒熱」については、4月の第2週に少し触れさせていただきました。
この時は、体の反応としての「熱」「寒」が、
実際にどのような症状として体に現れるのかを解説させていただきました。

今回のも、
と同じように、体の症状として出てきます。

これを表すのに、中医学の古典「素問」を紐解いてみましょう。
「素問」の中に「虚実」を表す以下の表現があります。

邪気盛なれば即ち実精気奪すれば即ち虚

前半は「実」を、後半は「虚」を表しています。

ここで出てくる「邪気」「精気」という表現から読み取れる通り、
」とは体の中の「氣」の状態を表しています。

簡単に説明すると、
「実」というのは、何らかの影響で陰氣または陽氣が溜まって盛んになりすぎている状態で、
「虚」というのは、体の陰氣又は陽氣が足りなくなっている状態です。

ここに出てくる「精気」、つまり正常な氣というのは、
先週のブログ「肝気鬱結」編で少し触れさせていただいた、
体を構成する氣・血・津液を含む全ての陰氣陽氣を指します。

もう一方の「邪気」ですが、これには以下の3種類があります。
外から侵入する風寒湿熱の邪
② 体の中を流れる氣・血・津液の停滞によって生じる気滞や血瘀、痰飲
③ 陰陽どちらかの気が過剰となり、平衡に戻らなくなっている気の状態

まず①ですが、これは風邪などの外からやってくる邪気になります。
次の②は、体の詰まりからくる邪気です。
そして③は、臓腑を形成し、正常に機能させるために必要な
陰氣・陽氣の平衡状態が崩れてしまうために起こる邪気です。

「陰陽二元論」「五行思想」でも触れましたが、
体の中に流れる「氣」であっても、
バランスが取れている「中庸」の状態が保てず
多すぎたり少な過ぎたりすることで、
人間の体は病気になってしまいます。

「八綱弁証法」では、
体の様々な状態(「証(しょう)」と言います)を見極めながら、
バランスを崩している場所をいかに元の正常な状態へ戻すかを探り、
「根治」へと導いていくのです。

それでは、次回は「虚証」について説明していきたいと思います。

<続く>