中医学の基礎 その13 「実証」とその症状
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、八綱弁証法の一つ「虚証」について少し触れさせていただきました。
今回は、前回の「虚証」を踏まえつつ、
「邪気」が増えすぎてしまっている「実証」について
解説していきたいと思います。
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「実証」は、「素問」からの引用で「邪気盛すれば即ち実」とあるように、
体の中の「邪気」が増えすぎてしまっている状態(太過:たいか)のことを指します。
この太過には、以下の3種類があります。
① 邪気の侵入
② 気血津液の停滞
③ 臓腑の陰氣・陽氣の平衡状態が損なわれ、どちらかが過剰になっている状態
実証の場合、体にはどのような症状が現れるのでしょう。
下の一覧をご覧ください。
・イライラする
・言葉が多い
・落ち着きがない
・締め付けを嫌がる
・胸が苦しい
・タンが詰まる
・呼吸が粗い
・下痢と便秘を繰り返す
・意識がぼーっと飛びやすい
部位により症状の出方は変わりますが、
「邪気」が体に留まり、パンパンに「詰まっている=実」という
イメージが、なんとなく伝わったでしょうか?
日々、患者さんと接していると、
「虚証」よりもこちらの「実証」の方がとても多いように感じます。
理由として、様々な要因が考えられます。
例えば大気汚染や水質汚染など、化学物質の影響に始まり、
季節を感じない快適な住環境や、
夏寒く、冬熱いなどの季節とは逆の生活環境、
ここ50年で一気に豪華で便利になった食環境、
さらにPCやスマホ、新幹線や飛行機などに溢れる多大な電磁波など、
外からの要因を考えただけでもキリがありません。
加えて効率重視のストレスフルな労働環境、
様々なハラスメントや通勤・通学環境、
SNSやインターネットによる情報過多も含め、
ありとあらゆる「邪」が、私たちの体に影響しています。
現代の便利さや快適さが悪いのではありません。
それらに気づかず、取り込みすぎてしまうことによって、
知らずに体が順応する程度を超えてしまい、
様々な病に侵されてしまうことが問題なのです。
「実証」が多いとは、
つまりそれらを「パンパンに溜め込んでしまう」こと。
行き過ぎややりすぎに気がつかずに、私たちは生活しているのです。
ですから、少しでも体の変調に気がつけるよう、
日頃のケアやチェックが大切なのです。
それでは、次回は「虚証」と「実証」の関連性についてお話したいと思います。