中医学の基礎 その15 「寒熱」と「虚実」
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、「虚実」の関係性について軽くお話させていただきました。
さて今回は、
4月の第2週で軽く触れた「寒熱」に「虚実」を合わせて、
少しお話を膨らませていきたいと思います。
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八綱弁証法の「寒熱」と「虚実」は、
組み合わせで見ていきます。
2×2=4通りの状態に分類されるのですが、
それぞれの症状を以下にまとめてみました。
(1) 虚と寒で「虚寒証」(陽氣不足)
氣が足りなくなって、
体温を保てなくなってしまったために起こる症状。
元気が無く、寒がりで体の冷えが続きます。
やたらと着込み、夏でも暖かい物を欲しがります。
(2) 虚と熱で「虚熱証」(陰氣不足)
陰血や陰液が減り、
足りなくなったところに陽氣が張り出すために起こる症状。
手足顔の火照りやのぼせ、口の渇きやじわっと汗をかくなど。
厚着や体を締め付ける服を着たがりますが、急に暑がり、汗をかいて水分を取りたがります。
(3) 実と寒で「実寒証」(陰氣過剰)
風邪や、冷たい食べ物の取りすぎ、
体の冷やしすぎなどで体温が保てなくなっている症状。
熱があるのに悪寒がする、体が萎縮してしまって動かせない、など。
体感として強い冷えがあり、温めても暖かさを感じないことがあります。
(4) 実と熱で「実熱証」(陽氣過剰)
「氣」が過剰になりすぎて、体に熱がこもってしまっている症状。
神経が高ぶりイライラしたり、暑がりで全身が熱っぽく顔全体が赤くなる、など。
締めつけを嫌い、冬でも冷たい物を摂りたがります。
前回のブログでもお話しましたが、
最近の患者さんは「実証」で、かつ「熱証」が多いように思います。
特に「実熱証」が進むと、
体の中の氣が損なわれてしまい、「虚」の状態を作り出していきます。
実際には「実証」なのに、やたらと寒がりだったり、
夏でも着込んだりする人が多いのは、
この「実熱証」が進んで、
表面的には「虚証」が出てしまっているという状態です。
本当は、「実熱証」で「熱」を体から取り除かなければいけないのに、
症状としては「虚証」が出てしまい、体の機能が低下するために
表面的な症状は「熱証」では無く「寒証」が起きてしまうのです。
そうなると、体の中は「熱証」なのに、
やたらとサウナに行きたがったり、
体を温める食べ物をどんどんと摂ってしまっている、というケースをよく見かけます。
情報がしっかりと治療家に届かず、
今起きている症状だけが伝わってしまうことで、
真に治療すべき状態が隠れてしまい、
表面的な治療を行なってしまうことで、
根治まで至らないという事態を避けるために。
患者さんと治療家との信頼関係や連携は、
病の根治に向けてとても大切な要素なのです。
では、来週もお楽しみに!