第3話 仲良し同士は引き合います
おはようございます!
博厚堂はり治療院鍼灸院の深澤です。
前回は、夏の終わりの季節には、
夏の間に貯めた「陰」が悪さを働く可能性がある、というお話でした。
さて今回は、ここから五臓六腑の寒熱と邪の働きについて、
お話が深まるようです。
それでは、気になる本編はこちらからご覧ください!
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まいちゃん:
深澤先生、夏の間に「湿」がたまりやすいっていうのはよくわかりました。
外は暑いから、
ついつい冷たいもの取りすぎちゃいますもんね苦笑
深澤先生:
健康な人は、バンバン摂っても大丈夫なのよ。
ただね、体や環境のことも考えずに、
調子に乗って過剰に摂ってしまっていると、
どんなに健康でもバランスを崩してしまうし、
それが体調に影響をしてくるということなのよ。
まいちゃん:
やっぱり摂りすぎは、
なんでもダメなんですねぇ。ははは。
で、五臓六腑と寒熱って、
私の下痢と何か関係があるっていうことですか?
深澤先生:
もちろん! 今回はその続きからお話ししましょうね。
まいちゃん、
前回の「熱中症」の時も、お腹を下していたけど、
前回と今回、どんな違いがあるかわかる??
まいちゃん:
そうですねぇ。。。
前回は、朝方、急に差込みが来る感じでしたが、
今回は、お茶飲んだり、ご飯食べた後にやってきますね。
それに、冷たいものでなくても来る時があります。
あ、そうだ。
お腹空かないし、「うぷ!」って感じなんですけど、
ご飯はちゃんと食べれるんですよね。
食べている時も、美味しいし。
だけど、お昼が終わってしばらくすると、
じわっと耐え難いお腹の痛みがきて、
トイレに何回か行くこともあります。
深澤先生:
なるほどねぇ
実はね、「湿」がどこにたまっているかで、
それぞれ症状が違うのよ。
例えばまいちゃんの場合、
疑わしいのは「脾」になるわ。
まいちゃん:
「脾」、ですか?
ええと、確か。 水穀の精微を肺に送って、
栄養の消化と吸収と、水分代謝と・・・あれ??
深澤先生:
あはは。すぐに全部を覚えるのは、
流石に難しいわよね。
これまでに出てきた「脾」の主な役割は、「運化」「昇清」。
「運化」は水穀の精微や水湿を吸収して
全身に運んだり、栄養に変えたりする役割。
「昇清」というのは、
水穀の精微を肺に登らせる役割。
他にも「生血」「統血」など
血を作ったり管理したりの役割もあるのだけど、
詳細はまた、お話しする機会が来たときにしましょうね。
まいちゃん:
こうやってみると、
「脾」って色々な役割を担っているんですね。
それで、どうして「脾」に「湿」がたまっているって
わかっちゃうんですか??
深澤先生:
「脾」というのは、
「湿を憎み、燥を好む」のよ。
つまり、湿っぽいのは苦手な臓腑なの。
役割の1つに「水湿の運化」というのがあるでしょ?
例えば、水路に適切な水が流れていたら、
特に気にならないけど、
ゲリラ豪雨なんかで、急激に水が増えたらどうなる??
まいちゃん:
う〜ん、配管から水が溢れて道路に出ちゃいます。
深澤先生:
それが、今回のまいちゃんの「下痢」というわけ。
さらに「陰」と合わさっているから、効果も倍増なのよね。
「脾」に「水湿」がたまってくると、
水路が溢れちゃって、
身体の中に水分をキープできなくなってしまうのよね。
しかも、「陰」の冷たいものが大量に入ってくるから、
「脾」がすでに滞ってしまっている。
水路の働きが鈍っているところに、
大量の「水湿」が入ってきたら、決壊するわよね苦笑
まいちゃん:
そうかぁ。。。
だいぶ体に負担をかけていたんですね、私。
そもそも水分が多いところに、
水分を大量に入れているから、
量が多くなりすぎて、
体が吸収切れなくなるから、
お腹が降ってしまう。。。
だから、食後のお茶を飲むと、
お腹降っちゃってたんですねー
深澤先生:
そういうことになるわね。
しかもこの季節、雨が増えてくるでしょう?
外の環境では「外邪」である「湿」も増えてくる。
前にもお話ししたことがあると思うけど、
「同じものは引き合う」から
「脾」という臓器に「湿」がすでに入り込んでいることで、
外邪である「暑邪」の「湿」も
さらに入り込みやすくなってしまうの。
まいちゃん:
うう、確かに。
この季節になると、汗もほとんどかかないし。
身体の中の「湿」は増え続ける一方ですね。。。
深澤先生:
まいちゃんが、
食欲なくて「うぷ!」ってなるのに、
ご飯が食べれるのは、
「胃」はちゃんと機能しているけど、
「脾」が滞ってしまっていて、
身体の中の「運化」が正常に働いていない、ということになる。
本来「陽」の割合が多い「脾」なのだけど、
そこに「陰」である「湿」や冷たいもの、
つまり「寒」が大量に入り込むことで、
「脾」の滞りが出てしまう。
すると、「胃」が大丈夫でも、
その先の「消化」や「運化」の部分が滞って、
身体の中の栄養の流れが悪くなる。
まいちゃん:
ということは、食べているのに
体に栄養が届きにくくなってるってことですか?
深澤先生:
ご明察ね!
つまり、体全体の滞りや栄養不足が
起こっている可能性があるってこと。
「脾」が滞るから、
食べ物が運化されずに、あまり食べることができない。
全体的に、栄養不足、つまり、氣血津液の不足にもなっている。
すると、身体の力が入らなくなるわよねぇ。
まいちゃん:
そうか!
最近やる気が出ないのも、もしかしたらそれのせい?
深澤先生:
原因の1つになっていると思うわ。
そして、まいちゃんの状態を、
「夏バテ」ともいうわね。
夏バテって、夏の間よりも、
夏が終わる頃や終わった後に出る症状ですからね。
さらに「脾」だけではなく、「腎」や「肺」、
場合によっては「肝」も影響している可能性があるの。
まいちゃん:
え!? 「脾」だけじゃないんですか!!
深澤先生:
そうね。少し長くなっちゃったから、続きは次回にしましょうね。
まいちゃんの下痢の原因は、「脾」にあった!?
さらにここから「肝」や「腎」のお話になりそうですが。。。
次回、深澤流解説が鋭さを増していきます。