第6話 新興勢力! 侵略するは我にあり!
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回、夏の外邪の説明から、
夏にやってくる体の不調の原因を、
「外邪」と「体質」との関係性から読み解きました。
前回のお話 第5話 よこしまな誘惑にご注意を!
今週は、夏の「外邪」と体質である「素体」について、
さらに深く解説が進むようです。
気になる本編は、こちらからご覧ください!
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深澤先生:
さて、と! 前回は「火邪」「暑邪」の2つについて説明したのだけど、
他にも夏の季節に特有の外邪はあるわ。
まいちゃん:
?? 外が暑いから、陽邪ばっかり!ってわけでもないんですね??
深澤先生:
ふふふ。。。まいちゃんは忘れているわね!
現代社会における住環境という、伏兵のことを!
まいちゃん:
ああ! そういえば!!
深澤先生:
そう! この快適な住空間が、
実は「外邪」になっていることもあるの。
例えば、前に話ししていた「エアコン戦争」だけど。
「火邪」が強い人なんかは大好きだけど、
「湿邪」が強い人は、寒がったりすることもあるのよ。
まいちゃん:
そうなんですか??
乾いてるのと湿ってるのの違いはあれど、
どちらも熱証だから、冷やすがいいのかな?なんて考えてましたが。
深澤先生:
そう物事は単純にはいかないのよ。
どこに熱を持っているか? どこに湿を持っているか?によっても、
それぞれ体感が違ってくるの。
例えば、エアコン苦手な人は、「湿」の体質の方が強いわね。
エアコンって、冷たいだけじゃなくて「風」もあるでしょ??
まいちゃん:
そうか! 冷たい「風」が苦手!っていう人は結構います!
深澤先生:
「湿」が体に多い人は、冷たい風は苦手なのよね。
まず、「湿」が多くある場所に「冷たい風」がやってくると、
その場所が冷えてしまう。
「湿」って「陰」の性質を持っているから、
冷たいものも引き寄せちゃうし、下へ下へと降りていくのよ。
だから、お腹や腰にたまりやすいのよね。
「脾」に湿が多い人は、お腹冷えて下しちゃうし、
「腎」に湿が多い人は、腰が重だるくて痛くなっちゃう。
まいちゃん:
夏でも巻き毛布してる人、そういえば腰痛持ってたと思います。
エアコンの温度が低い! 足がむくむ!って、怒ってましたっけ苦笑
深澤先生:
やっぱりねぇ。特に座り仕事してる人は、流れが滞りがちだから、
浮腫んじゃって大変よね。
それにね、エアコンには
「冷たい」=「寒」と「風」=「風(ふう)」という、2つの性質を持っているの。
健康な人には、快適な道具かもしれないけど、
体のバランスが崩れていたり、弱っている人から見れば、
それらを跳ね除ける力が弱いために、
どうしても「外邪」を防ぎきれなくなっちゃうのよね。
まいちゃん:
そういえば、「衛氣」って、体の表面にいて外邪を防ぐって、
この前のお話できました。
深澤先生:
鋭いご指摘、ありがとう!
特にエアコンの「風」は、「風邪(ふうじゃ)」と言って、
「衛氣」の弱い人は特に入り込みやすくなっているわ。
「衛氣」は「水穀の精微」から作られるの、覚えてる?
そもそも、夏の外邪に体がやられていると、
何らかの形で「水穀の精微」から作られる気血が供給不足になるから、
「衛氣」も不足して、「風邪」が入りやすくなってしまう、というわけ。
で、厄介なのは、
「風邪」というのは、他の邪を呼び込む性質がある、ということ。
まいちゃん:
え!? 他の邪を手引きしちゃうんですか??
深澤先生:
そう。 夏風邪をひきやすい、という人は、
そもそも体の流れのバランスが悪くなっているのが原因だし、
「風邪」は陽邪の性質を持っていて、特に肺を犯しやすいのよね。
まいちゃん:
大変です! 肺で、氣とか精とか作られているのに、
肺がやられてしまったら、体に供給される気血も減っちゃうし、
水分調節も鈍ってうまくできないし、
衛氣も減っちゃって、ますます「風邪」を呼び込んじゃうんじゃないですか??
深澤先生:
「風は百病の長」という言葉があるの。
つまり、「風(ふう)」そのものの邪気もさることながら、
「風」が体の中に入り込むことで、他の邪を手引きしたり、
「風」が他の邪気に転化したりもするのよ。
まいちゃん:
変身するんですか!? 厄介ですねぇ。。。
健康じゃないと、エアコンって結構怖いのかも。。。?
深澤先生:
あはは。ちょっと脅しすぎちゃったかしらね??
要は普段から、健康に気をつけるような生活を送っていればいいのよ。
もともと、私たちが快適に過ごせるように作られたのが、エアコンでしょ?
健康で衛氣がしっかりしている人は、そんな影響は出ないはずなの。
それに、熱証を持っている人には、こんなに快適なものもないのよ!
まいちゃん:
そういえば、この間の新人君!
よくエアコンの下で深呼吸してます笑
胃に熱があって、ホクホクしてるんだろうなぁって、見てました。
深澤先生:
顔には胃系の経絡がたくさん通っているからね。
顔を冷やすことで、無意識的に体の中の熱も冷ましているのだと思うわ。
まいちゃん:
そっかぁ。
要は、暴飲暴食は避けて、体を健康に保つ!ということが大事なんですね!
深澤先生:
あはは。 無理やりまとめに入ったわねぇ笑
でも、おっしゃる通り!
現代の食べ物は、良くも悪くも、「陽」も「陰」も強すぎますからね。
食べすぎ、飲みすぎで体の中の陰陽のバランスが崩れたところに、
外邪は付け入って来ますから。
普段から、規則正しく、体に無理のない食べ方や生活習慣を心がけることで、
病気の元である「六淫」を防ぐことにもなるのよ。
まいちゃんも、週末だからって飲みすぎ注意よ!
まいちゃん:
う! 忘れてると思ったら!
やぶ蛇です! 先生!
季節や室内環境からくる「外邪」もさることながら、
結局は普段の生活による「陰陽」のバランスの崩れから病気を招くというお話でしたが。
夏の暑さとエアコンも相まって、
便利になった現代社会では、また新たな問題が起こるということですね。
深澤先生、見事に今回も読み解きましたが、
結局は日頃の蓄積が大事、ということ。
人の体は繊細かつ絶妙なバランスで成り立っているのですね。
それでは、今週もお付き合いくださりありがとうございました。
また次回もお楽しみに!