中医学の基礎 その25 邪気と六淫 六淫と陰陽二元論

おはようございます!
博厚堂はり治療院鍼灸院の深澤です。

前回のエピソードでは、
熱中症について、中医学的な視点から解説させていただきました。

 先週のエピソード 第1話 体に染み入る夏の熱

思い当たる症状や状態などは、ありましたか?

日頃の熱の蓄積が、夏になるときたす症状について、
少しでも理解を深めていただければ幸いです。

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さて今回の中医学の基礎では、
前回のエピソードに出てきた「邪」について、見識を少々深めていければと思います。

「邪」と聞いて、「外からやってくる悪いもの」というイメージを抱かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、中医学では少々異なります。

そもそも健康であれば、夏の暑さも冬の寒さも、極度の湿気や乾燥も、体は耐えられるものなのです。
ですが、どこかバランスを崩していると、その弱っているところが不具合をきたし、体の状態を悪化させていきますし、また一時的でも極端な状態にさらされてしまった時などは、どんなに健康体でも不調をきたしてしまうものです。
それら体のバランスが何らかの原因によって崩れてしまっ失調の状態を「病気」と言い、この時の原因を「邪」と言います。
つまり「邪」とは、外から過剰にやってくる体のバランスを崩す原因(外邪)であったり、体の内側のバランスが崩れてしまったために引き起こされる陰陽失調状態(内邪)、と大まかに捉えていただければと思います。

例えば夏の暑さを例にあげてみましょう。

体が健康で、バランスよく働いていれば、夏の暑さに体を害されることはありません。
ですが、炎天下の中、何時間も休憩もなく動き続ければ、極端に暑い夏の熱が体に蓄積されます。
すると、どんな健康体であっても、過度の熱によって体を害されてしまいます。
この状態が続くと、熱中症であったり、日焼けによる火傷であったりと、病気として現れてきます。

この場合、病気の原因となっているのは「夏の暑い熱」です。
これを火邪(かじゃ)」といい、病気の原因の1つとして捉えていくのです。

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さて、前回のエピソードででてきた、外からやってくる「邪」の元となる原因要素のことを「淫」と言います。
この要素は湿6種類あり、「六淫」と言います。

もともとこの6種類は季節の「氣」の性質を指しており、「六氣」と呼ばれているのですが、これら外の環境に体が適応している時には「六淫」とは言われません
それが「淫」となってしまうのは、体が弱っていたり、バランスを崩している時です。

すでにお気付きの方もいらっしゃるとは思いますが、外界の環境は、人間に悪さをしようとしているわけではないのです。

自然界というのは、人間のために働いているわけではありません。あるがままに雨を降らせ、風となり、暑さや冷気を我々の元へ届けているだけなのです。
その、外側の環境が「六氣」です。この「六氣」は、もともと人間の体の流れを作ったり、自然に実りをもたらすものなのですが、過度な気象の変動や、その環境に住む人間の体のバランスによって「六淫」へと役割を変えてしまうのです。

1つの事象であっても、「良い作用」と「悪い作用」という二面性が存在しているということ。
つまり、ここでも「二元論」の原理原則がしっかりと根付いているのです。

さて、この「六淫」の詳細に入る前に、人間の体に作用する「邪」について、もう一段深く説明していきたいと思います。

というわけで、次回もどうぞお楽しみに!