中医学の基礎 その27 邪気と六淫 風邪
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、病気の発生原因である
「外邪」と「内邪」の考え方について解説致しました。
今回は、六淫の内の「風邪(ふうじゃ)」について
解説していきたいと思います。
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「風邪」とは、「風(ふう)」からくる邪になります。
季節としては春の主氣ではありますが、
一年を通して存在しています。
春先、特に風邪をひきやすいのは風(ふう)が春先に多いためですが、
近年は館内空調やエアコンなど自然界ではない風の影響もあり、
季節性が薄れてきている側面もあります。
さて「風邪」の特徴ですが、
目に見えず、軽い、つまり「陽」の性質を持っています。
このため、上に向かい、外に向かう性質(開泄)があります。
陽邪であるため、
症状や場所が動き回るなど移動します。
風邪を引いた時に
震えやめまいが出ますが、
これらは「陽邪」の性質になります。
また、「風邪」には1つ厄介な性質があります。
他の邪を引き込んだり、他の邪に転化するのです。
「風は百病の長」という言葉がありますが、
寒・湿・燥・熱などの多くの外邪は、
「風邪」のもつ開泄の働きによって体の中に簡単に侵入し、
それぞれ「風寒(寒気やゾクゾク)」
「風湿(鼻水や痰)」「風燥(目鼻のどが乾く)」
「風熱(体の各部所で発熱)」などが起こります。
また風は春の主氣、
つまり「肝氣」と同質の氣を持っているため、
「肝」に病変をもたらしやすくなります。
肝に風が入ると陽邪が陰血を損耗してしまい、
肝氣が逆流して上昇し、めまいやふらつきが出たり、
熱を発したりします。
さらに陰血が不足するため、
体の筋肉に栄養が行き届かなくなり、
引きつりやけいれんを起こします。
外風は、衛氣や陰血が不足していると入りやすく、
外風は内風を引き起こす原因にもなります。
風邪をひき始めると様々な症状が出るのは、
これらの「風邪」の性質のためなのです。
では、次回は「寒邪」について解説していきます。