中医学の基礎 その29 邪気と六淫 火邪と暑邪
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、「六淫」の中でも「寒邪」について解説させていただきました。
今回はその続き、
「火邪と暑邪」についてお話させていただければと思います。
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さて、今回は「熱邪」の1つである
「火邪」と「暑邪」についてお話させていただきます。
この2つの「邪」は「陽」の性質を持っています。
中医学の古典「素問」の中に
「陽勝れば即ち熱す」ということばがあるように、
「火邪」「暑邪」が体に入り込むことにより、
陰の性質を持つ津液や陰血を損傷し、
体の中に高熱を引き起こします。
それでは、それぞれの違いを振り返ってみましょう。
まずは「火邪」ですが、
夏の暑さの中でも、
前半の暑くなる段階での主氣を持っています。
エピソード「第5話 よこしまな誘惑にご注意を!」でも触れましたが、
夏の暑さにより、
体の中が陽氣過多になるため、
発汗が激しく続くことにより、
陰氣が著しく損耗していきます。
するとその内、
汗が出なくても「津液」などの「陰氣」が体から損耗し、
口の渇きなどから冷たい飲み物を欲する、
体の水分不足から便秘すると言った病症が現れます。
さらに、陰血が不足してくると肝血が体の中を巡らなくなり、
引きつりなど痙攣が起きます。
次に「暑邪」ですが、
エピソードでもお話したように陽邪ではありますが、
「+湿」の性質を持っています。
夏の終わり頃、
秋口の雨が増える暑い時期の主氣をもち、
「火邪」の性質に加えて「湿」、
つまり「陰」の性質であるだるさや無気力感を引き起こします。
この暑邪が脾に侵入すると、
「熱」の性質である胸焼けや便秘に加え、
吐き気や悪寒、下痢なども引き起こします。
「火邪」には他にも内邪がありますが、
内生した火邪(心火、肝火)のことは
六淫とは区別して考えるため、「外火」とは呼びません。
「暑邪」には、明らかに季節性があルため、
内邪はなく、外邪のみです。
いかがでしたでしょうか?
一度解説した内容でしたが、
まとめてみることで症状や流れを整理していただければと思います。
それでは次回、
六淫の中の最後の2つ「燥邪と湿邪」についてお話したいと思います。