中医学の基礎 その19 食事と五臓六腑 「腎」
おはようございます!
博厚堂はり治療院針灸院の深澤です。
前回は、肺の役割と水分代謝について少し詳しく説明させていただきました。
さて今回は、水分代謝を担う最後の臓器
「腎」について、詳しく説明していこうと思います。
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腎は「水を主る」と言われている臓器で、
体全体の水分代謝に深く関わっています。
肺の「宣発」「粛降」の作用により皮膚の水分調整がされるように、
腎では「蒸騰気化(じょうとうきか)」と言われる「開・闔」2つの作用により、
体全体の水分の調節を行っています。
腎の「開・闔」の役割ですが、先週のブログ第3話に出てくるように、
「開」は輸出と排出を、「闔」は貯蔵と閉門を司っています。
またさらに腎は、精を蔵し、生長・発育・および生殖を主る臓器でもあります。
人体の生長・発育および生殖には、
腎に十分な「精=腎精」が蔵される、つまり所蔵される必要があります。
この所蔵される「精」には、2つの種類があります。
1つは両親である父母から頂いた生殖の精で、これを「先天の精」と言います。
もう一つが、水穀の精微を原料とする「後天の精」です。
この2つの「精」が腎を機能させる源となっています。
では、2つの「精」を理解するために、
私たちの一生を「1本のロウソク」に例えてみましょう。
まず「先天の精」である、
生まれながらに所蔵されている「精」が、
ロウソクの本体です。
ロウソクに火が灯り、
ロウ(腎精)が燃えることで生命の炎(腎氣)が生まれます。
生命の炎である腎氣によって、
人間の生長・発育・生殖活動は動き出します。
この時に、持って生まれた「先天の精」は、
どんどんと燃え尽きていきますが、
生命の炎である腎氣を、
より大きく・強く・長く燃やし続けるために、
「後天の精」は後から補充されます。
そして、燃料としてはロウソクの炎の根元に注がれるのです。
こうして生命の炎である「腎氣」が燃え尽きると、生命の死がやってくるのです。
一方で脾から届けられた津液は、
腎の蒸騰気化の作用により必要な栄養を搾り取られたのち、
有用な栄養や氣は肺へ届けられ、再度全身へと布散されます。
最終的な残りかすと水分が尿液となり、膀胱へと送られていきます。
このため、「腎」のことを
「腎は水臓たり」「腎は水を主る」と言われているのです。
いかがでしたでしょうか?
今回は食物がどのように体に吸収されていくのかという過程を、
各臓腑との関係性の元、お話させていただきました。
少し急ぎ足で難しい点もあったとは思いますが、
中医学は、西洋医学とは全く別の観点から体の働きを解説しており、
その内容は、もちろん現代にも通じるのです。
これらの流れの滞りや連携不足が未病を作り、
その状態に気がつかずに放置してしまうことで、病気が発生します。
特に現代は、水や大気、
食べ過ぎ・アルコール飲料の飲み過ぎ・添加剤などの影響により、
各臓腑に様々なダメージを受けていることが多々あります。
病気になってから対処するよりも、
普段から気をつけ、心がけることで、体は長持ちします。
今回の食物の流れが、皆様のご健康に役立つのでしたら幸いです。
それではどうぞ!また来週以降も、お楽しみに!